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インクルーシブ・テーマトーク

アイデアソン参加者の様子です

特定非営利活動法人 インクルーシブデザインネットワークでは、インクルーシブデザインに取り組む皆様、およびご興味をお持ちの皆様を対象に、インクルーシブデザイン実践事例や、開発・評価手法等の最新情報の共有をはかるとともに、参加者相互の交流の機会提供を行う目的で、インクルーシブ・テーマトークを開催しています。

2022年度 第1回 インクルーシブ・テーマトーク

2022年7月5日(火曜日)
開催形態:ZOOMオンライン

 コロナ禍を経て本年3月14日から18日、米国カリフォルニア州アナハイムのCSUN(California State UniversityNorthridge /カルフォルニア州立大学ノースリッジ校)で The 37th Annual CSUN Assistive Technology Conference(第37回CSUN支援技術会議)が対面で開催されまし。 このイベントに参加された関根千佳氏にZOOMによるオンライン形式で講演を行っていただきました。

 7月5日開催の2022年度第1回インクルーシブテーマトークでは、100名を超える参加者を迎え、関根先生の熱のこもった講演が行われました。また、フリートークでは30分時間を延長し、1時間半にわたり、活発な意見交換が行われました。

テーマ:「CSUNカンファレンス2022」にみるインクルーシブデザインの最新動向と日本の課題

・障害者支援技術やユニバーサルデザインに関する技術動向
・デジタル・アクセシビリティの新潮流

講演者

関根千佳様画像

関根 千佳 氏
・株式会社ユーディット会長兼シニアフェロー
・同志社大学客員教授
・特定非営利活動法人インクルーシブデザインネットワーク顧問

講演内容

 講演は、関根先生ご本人のCSUN参加の流れを日ごとに追う形で進められ、かつ、長年参加されているからこそわかる今までの変化や、これから進むと考えられる方向など示唆に富んだお話をいただきました。特に今回のCSUNの重要なトピックは以下の通りでした。

① 「デジタルアクセシビリティ」というキーワードが独立して使われるようになった。
 Webサイト、携帯アプリ、情報端末(KIOSK)、AI、ロボット、電子書籍、XR、IoT、スマートホーム、放送メディア、映画などあらゆるデジタル機器、デジタルを用いたサービス、デジタルコンテンツが対象として含まれる。
 画面でインタラクションのある全ての機器がKIOSKとして含まれる。コロナの影響もあり、人を介さない機器経由のやりとりが劇的増加した結果アクセシビリティが重要になっている。マグドナルド等の先行事例の発表や、個人のアクセシブルデバイスを標準的ソケット経由でKIOSKにつなぐ事例が見られた。
 ハーバード大学は大学の動画コンテンツに字幕が不備とADA違反の判定を受け、10,000件の動画内の30,000以上の埋め込み画像に字幕検討を進めた事例の報告が行われた。情報も建築同様に後付けの対応は非常に多くのコストと労力を要する。

② 企業トップのリーダーシップや戦略がより重要に
 ごく一般的な企業がアクセシビリティ担当役員や責任部署を設けている。ADA違反として年間5,000件以上の訴訟があるが、この訴訟に備える目的よりも、
-障がい者雇用で組織のモチベーションと利益率が向上
-ダイバーシティ促進は組織の強靱化、イノベーションの促進に有効
という点が重視されている。

③ メンタル系の話題が増加している
 発達障害やCOGA(Cognitive and Learning Disabilities Accessibility)に関する案件が増加。コロナによる後遺症の問題も関与している。

④ UX、ユーザビリティの関係が深まる
「アクセシビリティを左にシフト」デザイン開発の最上流から、アクセシビリティを考え取り込んでいこうとする動きが一般化してきている。

最後に、日本国内にとどまるのではなく、世界の動きを知るにはCSUNは重要な場であり、是非次回は多くの仲間とCSUNに行こうと締められました。

過去のインクルーシブ・テーマトーク

2021年度 第3回
2022年3月23日(水)

『パラリンピックの残したもの』~パラリンピックで進んだこと、まだまだ残る課題~
・川内 美彦 様 アクセシビリティ研究所主宰 
・小川 歩美 様 オンボラ・コミnet 共同代表

➡ 報告

2021年度 第2回
2021年10月20日(水)

「社会課題と実践事例:『モバイルトイレ』の開発と社会に示す新たな可能性」
・トヨタ自動車株式会社 社会貢献推進部 内山田 はるか 様
・トヨタ自動車株式会社 ビジョンデザイン部 インテリアデザイン室 飯島 泰昭 様
・NPO法人 アクセシブル・ラボ 代表理事 大塚 訓平 様

➡ 報告

2021年度 第1回
2021年7月27日(火)

「実践事例:インクルーシブデザイン視点で既存エレベーターホールの動線改善」
・株式会社コンセント プロデューサー 堀口真人 様