ideathon2024-report

インクルーシブデザイン・アイデアソン
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私たちは大阪・関西万博TEAM EXPO2025プログラムに参加しています。

インクルーシブデザインアイデアソン2024レポート

期間: 2024年9月12日(木)~ 9月14日(土曜日)
会場: 芝浦工業大学豊洲キャンパス(東京都江東区3丁目7-5)
参加企業:コクヨ株式会社、小島プレス工業株式会社、株式会社コンセント、ダイハツ工業株式会社、TOTO株式会社、トヨタ自動車株式会社、トヨタ車体株式会社、トヨタ紡織株式会社、日本電気株式会社、パナソニック株式会社、富士通株式会社、ブラザー工業株式会社、三菱電機株式会社
参加大学  : 芝浦工業大学、開志専門職大学

アイデアソンもはや6度目となり、かなりこなれたプログラムになってきました。

本年度のテーマは「Embrace」。一般的には「抱きしめる」という意味の言葉ですが、「大切な人を抱きしめる」、相互の違いや社会が直面する課題を受け入れ、肯定すること同時に、人だけでなく街や社会も抱擁していく、未来に向けたインクルーシブなデザイン提案を行う、という思いを、テーマに込めました。

初日はまず、アイデアソン全体をファシリテートする藤木副理事長より、プログラムの全体像と各日のワーク内容、チーム構成と各チームのメンバー発表がありました。今回は6チーム、各チームは、核となるリードユーザーに加え、企業デザイナー、学生で構成され、企業デザイナーから一人、進行を司るリーダーが指定されました。そのほか、各チームに1名、メンターが加わり、ワークの進行を補佐・誘導します。

藤木副理事長が参加者に説明している画像
藤木副理事長
説明会の様子

また、各リードユーザーのプロフィールが全員で共有されました。そこでは、「記憶に自信がないが、気楽にお出かけできるようにしたい」、「目が見えないが、キッチンで料理をしたい」、「低い位置からしか見えないが、料理を楽しんで食べたい」、「聴覚障害だが、絵をみんなと一緒にみながら会話したい」などの要望も紹介されました。

初日のテーマは、「観察」です。

チーム編成の発表後、チームごとにワークルームに集まり、自己紹介とフィールドリサーチルートを確認すると、さっそくフィールドリサーチに出かけました。フィールドリサーチは、月島(下町)コース、有明(副都心)コース、両国(博物館)コースに振り分けられています。

フィールドワークは大学を出るところから始まっています。その後、公共交通機関で移動、昼食、街の散策、買い物、博物館の鑑賞など、さまざまな活動をリードユーザーとともに行い、一緒に活動し、きめ細かく写真撮影・ヒアリングします。チーム編成後すぐのリサーチでしたが、リードユーザーのひととなりにすっかり魅了されて、チームの一体感もありました。夕方大学に戻ったのち、チームごとにホワイトボードなどで振り返りを行います。

17時、全員で集合し、フィールドリサーチの振り返りを行いました。各チームから、エピソードや写真を駆使して、発見した課題を発表しました。他のチームの発表にも耳を傾け、自チームでの体験や気づきから、新たな視点を提供し、さらに気づきを深めました。

初日の「観察」で得られた気づきを元に、2日目は「対話と発想」に集中しました。

リードユーザーさんについて気づいたニーズを元に、アイデアを広げ、スケッチし、さらに他のアイデアへ展開します。

2日目のプロセスは、コンセプトを決め、デザインし、ラフモデルを制作するところまで。コンセプトを決めるに当たっては、アイデアを広げる段階で、事業たり得る製品にするために、リードユーザーのニーズを的確に捕捉しながら、さらにリードユーザーだけのためのアイデアから、さらに多くのユーザーに「欲しい」とおもわれ、大きなマーケットを獲得するアイデアの開発につなげることが必要です。

これまで5回のアイデアソン運営を通して、インクルーシブデザインネットワークでは、初めて会う人たちの混成チームで、3日間で成果を上げるために、初日、2日目、3日目最終発表に至るまで、どの時間帯でどういう作業をしてもらうのが最も効果的か、ノウハウを蓄積してきました。綿密な事前の時間配分に加え、メンターによる誘導やファシリテータ藤木さんのチームへのアドバイスなど、アイデアを促進し軌道を修正する動きも会って、短時間で、6チーム全てから、リードユーザーのニーズから発して幅広いマーケットの支持を得られそうなアイデアとラフスケッチが提示されました。 とはいえ、ユーザーさんのユニークなニーズを解決したうえ、さらに大きな市場を獲得できそうな商品・サービスに展開するところまで、この短い期間に仕上げるのは大変です。各チームは、最終発表にむけて、深夜まで議論と検討を重ねました。

最終日は、2日目にラフスケッチした各商品アイデアをブラッシュアップし、事業提案とともに発表を行いました。

通例であれば「最後の追い込み」ですが、どのチームも、コンセプトから見直すところ、さらに改善すべきところがないか、もう一度原点にもどって作業しました。

データ提出の〆切は13時。時間は限られています。ストーリーを全員で確認したら、あとはプレゼンに向け、絵を描く人、試作モデルを制作する人、プレゼンの準備をする人、デザイナーや学生だけでなく、リードユーザーも役割を担って、全員で具体化を進めます。

14時から、プレゼンテーション。

昨年同様、プレゼンテーションは、インクルーシブデザインネットワークの名誉顧問であらせられる瑶子女王殿下にご臨席いただき、開催いたしました。

ご挨拶は、芝浦工業大学副学長 磐田朋子教授から頂戴いたしました。

芝浦工業大学副学長 磐田朋子教授

いくつものチームのストーリーが2日目の中間発表から大きく様変わりし、納得度の高いものに変貌。中間発表が「ラフなモデル」をベースにしたこともありますが、例えば、「目が見えないが、キッチンで料理を作りたい」など一見無謀なリードユーザーの課題からスタートして、それを解決しながら、さらに一般のキッチンユーザーにとっても「そんなものがあればほしい」と思わせるような、新しい提案を提供することができました。

プレゼンテーションには、今年もいくつかの参加企業から来賓としてお越しいただき、トヨタ自動車(株)中嶋孝之様、日本電気(株)勝沼潤様から、講評を頂戴いたしました。

トヨタ自動車株式会社 中嶋孝之様
日本電気株式会社 勝沼潤様

また、今回は、日本ユニバーサル・サウンドデザイン協会の西田伊豆美理事をお招きし、「聴覚障害に配慮したインクルーシブデザイン事例」のタイトルでご講演をいただきました。

日本ユニバーサル・サウンドデザイン協会 西田伊豆美理事

日本ユニバーサル・サウンドデザイン協会は、瑶子女王殿下が名誉総裁を務められている団体であるご縁で、お話をいただきました。日常感知しにくく、また放置すれば認知症などにもつながりやすいヒアリングフレイルについて、内容と対処の初歩をわかりやすくお伺いいたしました。

こうして本年度のアイデアソンは閉会しました。修了の証として、瑶子女王殿下から参加者全員に、インクルーシブデザインのバッヂが授与されました。

3日間のアイデアソンは、短いながら内容が濃く、忘れがたいものになったようです。デザイナーや学生、リードユーザーのかたがたも、みなLINEなどで連絡先を交わし、今後を期して終了しました。

過去のアイデアソン

 2024年度

2024年9月12日(木):ワークショップ(チームビルディング、フィールド調査)
2024年9月13日(金):ワークショップ(チーム作業、グループ発表)
2024年9月14日(土):プレゼンテーション

 2022年度

2022年9月15日(火):ワークショップ(チームビルディング、フィールド調査)
2022年9月16日(水):ワークショップ(チーム作業、グループ発表)
2022年9月17日(土):プレゼンテーション

 2021年度

 2020年度

2020年12月12日(土):オンライン ワークショップ(チームビルディング、気づきゲーム、ユーザーとのディスカッション、チーム中間発表、今後の進め方)
2020年12月23日(水):オンライン ワークショップ(グループ発表資料作成)、発表、まとめ

 2019年度