themetalk-2022-2-report

2022年度 第2回 インクルーシブ・テーマトーク

2023年2月7日(火曜日)

開催形態:ZOOMオンライン

超高齢化社会に向け、誰しも等しく直面する聴力の低下。現代社会では、10人に一人が難聴の問題をかかえていると言われています。聴力機能低下は生活の様々な面に影響を及ぼし、コミュニケーションをうまくとることができない「ヒアリングフレイル」が原因で、「認知機能の低下」を疑われてしまうことがあります。今回は、聴脳科学総合研究所 所長 中石 真一路 様にご登壇いただき、この「ヒアリングフレイル」を理解し、適切な対応策を学び、私達は何をすべきか学ぶ機会になりました。

※「ヒアリングフレイル」は、聴力の低下によるコミュニケーションの問題やQOL低下を含む身体の衰えです。

テーマ:「誰もが等しく直面する『ヒアリングフレイル』の理解とその対応策について」

・「ヒアリングフレイルとは」
・「ヒアリングフレイル」の評価と予防。
・「聞こえにくい」を改善し、対話をスムーズにする対話支援システム「comuoon」

講演者

中石真一路 様

中石様画像

・聴脳科学総合研究所 所長
・ユニバーサル・サウンドデザイン株式会社 代表取締役
・聴覚カウンセラー
・ジェロントロジスト
・CEO

講演内容

日本の推定難聴者は、約1,430万人で、全人口の約11.3%にあたる。この数字は、老人性難聴者の増加が原因で、80歳以上になると、男性の84%、女性の73%が難聴を発症している。

難聴により、社会との関わりの低下、認知機能の低下など様々なリスクが見られ、話者が良かれと思って必要以上に大きな声で話すことで、相手が心理的圧迫を感じ、さらに、聞き取ることに精一杯で、理解や記憶が低下して見え、認知症に誤認されることもある。

高齢になると、音は聞こえるけれども、言葉としてはっきり聞こえなくなる現象が見られる。これは、言葉として理解できない状態で、補聴器を使っても補うことは困難である。

この対策は音量の増加ではなく、音の明瞭度の向上が重要。音の明瞭度を高めることに着目して開発されたのが補聴器に代わる対話支援機器「COMUOON(コミューン)」である。COMUOONはマイクとアンプとスピーカーで構成され、音のひずみが非常に少ないことが特徴で、補聴器を装着していなくても会話ができ、話者も大きな声を出す必要が無く、テレビのスピーカーとしても活用できるなどの効果がある。

難聴を放置すると認知症のリスクが上がることが学会で報告されている健康寿命を延ばすポイントは「コミュニケーション」である。難聴の早期発見と対策のために、聞き取る脳の力を簡単に見える化するためにゲーム感覚で活用できる「みんなの聴脳力チェック」アプリを開発した。これらを用い、地域包括支援センターや地域の医師会が連携したヒアリングフレイル予防プラットフォームの構築し認知症予防と健康寿命の向上を進めている。

テーマトーク終了後、中石様を交え、参加者と音の聞こえに関する社会課題と対策に関してディスカッションが進みました。

過去のインクルーシブ・テーマトーク

2022年度 特別企画
2022年10月4日(火)

「UD・インクルーシブデザインにおける新たな活動と世代間の共創に関して」

・Blined Project様
・大阪工業大学 高橋 基就 様
・芝浦工業大学 デザイン工学部 デザイン工学科 教授 橋田規子 様、学生の皆様

➡ 報告

2022年度 第1回
2022年7月5日(火)

「CSUNカンファレンス2022」にみるインクルーシブデザインの最新動向と日本の課題
・関根 千佳 氏:株式会社ユーディット会長兼シニアフェロー、同志社大学客員教授、特定非営利活動法人インクルーシブデザインネットワーク顧問

➡ 報告

2021年度 第3回
2022年3月23日(水)

『パラリンピックの残したもの』~パラリンピックで進んだこと、まだまだ残る課題~
・川内 美彦 様:アクセシビリティ研究所主宰 
・小川 歩美 様:オンボラ・コミnet 共同代表

➡ 報告

2021年度 第2回
2021年10月20日(水)

「社会課題と実践事例:『モバイルトイレ』の開発と社会に示す新たな可能性」
・トヨタ自動車株式会社 社会貢献推進部 内山田 はるか 様
・トヨタ自動車株式会社 ビジョンデザイン部 インテリアデザイン室 飯島 泰昭 様
・NPO法人 アクセシブル・ラボ 代表理事 大塚 訓平 様

➡ 報告

2021年度 第1回
2021年7月27日(火)

「実践事例:インクルーシブデザイン視点で既存エレベーターホールの動線改善」
・株式会社コンセント プロデューサー 堀口真人 様