
インクルーシブデザインアイデアソンのご紹介は、こちらをご覧ください。
https://incl-design.net/ideathon-outline/
インクルーシブデザインアイデアソン2026レポート
期間:2026年9月17日(木)~9月19日(土)
会場:芝浦工業大学豊洲キャンパス(東京都江東区豊洲3-7-5)
参加企業:株式会社アイシン、株式会社JVCケンウッド‧デザイン、⼩島プレス⼯業株式会社、コクヨ株式会社、株式会社コンセント、ソニー株式会社、ダイハツ⼯業株式会社、TOTO株式会社、豊⽥合成株式会社、トヨタ⾃動⾞株式会社、トヨタ⾞体株式会社、トヨタ紡織株式会社、⽇本電気株式会社、富⼠通株式会社、ブラザー⼯業株式会社、三菱電機株式会社
参加大学:芝浦工業大学
本年度で8回目となるインクルーシブデザインアイデアソン。2026年のテーマは「インクルーシブデザインと防災」です。障がいの有無に関わらず、災害時に支援を必要とする人々を含めた「人が死なない防災」をどう実現するか。参加者は7名のリードユーザーとともに、備える・逃げる・過ごすという視点から、3日間かけて課題発見からデザイン提案までを行いました。
DAY 1
9月17日 木曜日
初日はまず、アイデアソン全体をファシリテートする藤木専務理事・アイデアソン運営委員長より、主催団体である特定非営利活動法人インクルーシブデザインネットワークの活動趣旨とプログラムの全体像が紹介されました。
日本の人口構成をふまえると就労・社会参加に制約のある層は総人口の約4割に及ぶこと、世界的にはアクセシビリティ対応の不備による機会損失が日本円換算で約3兆円規模にのぼると試算されていることが共有され、インクルーシブデザインが経営課題として重要性を増しているという位置づけが示されました。あわせて、1974年の「バリアフリーデザイン」、1980年代の「ユニバーサルデザイン」を経て1990年代後半に登場した「インクルーシブデザイン」という考え方の変遷も紹介されました。

今回は6チーム編成。各チームには、核となるリードユーザーに加え、企業デザイナー‧学⽣が加わり、メンターが進⾏を補佐します。参加した7名のリードユーザーは、それぞれ異なる障害があり、その⼀⼈ひとりのプロフィールが全員で共有されました。

今回は6チーム編成。各チームには、核となるリードユーザーに加え、企業デザイナー‧学⽣が加わり、メンターが進⾏を補佐します。参加した7名のリードユーザーは、それぞれ異なる障害があり、その⼀⼈ひとりのプロフィールが全員で共有されました。






初日のテーマは「観察」。熊本地震における災害関連死の割合や、日頃の訓練が功を奏した「釜石の奇跡」の事例が紹介され、「夕方帰宅直後に最大震度7の地震が発生し、電気・ガス・水道が7日間停止した状態で過ごす」というシナリオのもと、チームごとにリードユーザーの話を聞き、ららぽーと豊洲、および池袋防災センターでのフィールドリサーチに出かけました。

池袋防災センターでは、震度7体験、視界不良のなかで避難する煙体験を実施。リードユーザーとともに「逃げる」ことの難しさを体感しました。




夕方大学に戻ったのち、1日目の振り返りが行われ、「災害を想定外としてとらえず、すべてを想定内として備える」「情報を鵜呑みにせず自分で判断して避難する」「率先避難者たれ」という3つの心構えが共有されました。
DAY 2
9月18日 金曜日
初日の「観察」で得られた気づきをもとに、2日目は「対話と発想」に集中しました。地震発生直後の判断は本来「自助」が前提であることから、ライフラインが1週間途絶えた状態での「待避期間」をどう過ごすかに焦点が当てられ、各チームはリードユーザーの意思を尊重しながら、自宅で過ごす場合・避難所で過ごす場合それぞれの想定にもとづいて議論を進めました。
13時からの中間発表では、各チームがそれぞれの気づき・課題・解決したい方向性を発表し合いました。ファシリテーターからは、今後プロダクトリアリティ(実現可能性)、マーケットリアリティ(市場性)、カスタマーリアリティ(幅広い顧客への訴求力)という「3つのリアリティ」を意識することが呼びかけられました。なお、アイデア出しについては、ワークショップの趣旨(ユーザーファースト)で、ユーザーとの対話と議論を通じてアイデアを固めていく方針が徹底されました。

午後は藤木ファシリテーターが各チームを巡回してヒアリング・助言を実施。①当事者ファーストであること、②日常に自然に溶け込むさりげないデザインであること、③特定の当事者だけでなく汎用性を持たせる「ジャンプアップ」が必要であること、の3点が全チーム共通の助言として繰り返し伝えられ、若干の迷いや行き詰まりに光が当たり、コンセプトやイメージが徐々に絞り込まれていきました。各チームはその後も熱心にワークし具体化を行いました。



DAY 3
9月19日 土曜日
本日はプレゼンテーションの日です。アイデアをブラッシュアップし、プロトタイプ作成検証とプレゼンテーション準備に注力します。朝の朝礼では、「特定の一人のためのユーザーファーストな提案が、他の様々な人にとってもハッピーになれるか」という観点であらためて見直すよう呼びかけられ、各チームはスケッチ・モデル作成、資料作成、ユーザー対話の役割を分担し、13時のプレゼンシート提出締切に向けて最後の仕上げに入りました。




発表会は、インクルーシブデザインネットワークの名誉顧問であらせられる瑶子女王殿下にご臨席たまわり、14時に開会しました。
運営委員長の藤木専務理事の開会の辞ののち、主催団体であるNPO法人インクルーシブデザインネットワーク理事長の岩崎昭浩より主催者挨拶がありました。2018年設立の同法人が「体験・語る・共感・創造・実践」を軸に人材育成に取り組んできたこと、本アイデアソンが8回目の開催であることが紹介されました。


続いて、芝浦工業大学副学長の磐田朋子様(DEI推進室長)より、当事者との長期間の協働が「生きた気づき」につながることを評価するご挨拶をいただきました。

いよいよプレゼンテーションです。
6チームはそれぞれ、異なるタイプのリードユーザーの声を出発点に、避難所で過ごす、車中泊する、自宅にとどまるなど、それぞれが選んだ「過ごし方」に寄り添う具体的な製品・サービス提案を発表しました。
あるチームは、車中泊避難者向けに簡単に連絡できる仕組みで避難時の健康不安と情報孤立の解消を同時に叶える点に着眼。また、あるチームは災害時の排泄という語られにくい課題に正面から向き合った提案を行いました。そして平時と非常時で機能を切り替えることで日ごろから「孤立しない関係づくり」を行うという提案も。



プレゼンテーションののち、来賓のみなさまからコメントをいただきました。
トヨタ自動車株式会社中嶋孝之様は、「防災」という非日常・非常事態のテーマ設定とフィールドワークでの着眼点を評価され、特徴的な発表につながったと指摘されました。また、デザイナーが接着剤として動き、他チームの気づきなども幅広く取り込みながら答えを出すことが重要と、各社若手デザイナーの継続的な参加を呼びかけていただきました。

コクヨ株式会社福井正浩様は、テーマの難しさに触れつつ、今回は「ファインプレー」と評価。「対話にこだわった」進行を評価し、障害者の「できないこと」ではなく「できること・やりたいこと」に着目し、「共感を呼ぶデザイン」がインクルージョンの本質と、参加者にエールを送られました。

つづいて、藤木ファシリテーターより振り返り。
テーマも難しく、防災体験に時間がかかりましたが、リードユーザーの多くが「自宅避難」を選択した実情に各チームが高い感度で向き合えた点をふりかえり、画期的なアイデアが、リードユーザーと街で交わした何気ない会話を丁寧に拾ったことから生まれた点を「風が吹いた瞬間」と評価、リードユーザーの明確な意思や考えだけでなく、ちょっとした一言や所作に注意し次のアイデアにつなげる感度の大切さを説き、「安きにありて危うきを思えばすなわち備えあり」ということばで締めくくりました。
締めくくりにあたり、瑶子女王殿下よりおことばを頂戴しました。
まず3日間の参加への謝意とともに、今回は「防災」というテーマでもあり、リードユーザーのみなさんから普段になくネガティブな発言が多かったことに言及され、「助けられて当然、助けて当然」という認識をより広めていく必要性をお話しいただきました。
そののち、チームの発表について、ご自身のエピソードなどもまじえて、ひとつひとつにコメントをいただきました。発表の中のリードユーザーのことばを「本音」と評価され、こうした声を引き出し受け止めることが社会全体で大切にすべき考え方であると締めくくられました。

修了のあかしとして、瑶子女王殿下より各チームのリーダー・リードユーザーへ修了バッジが順次授与されました。

そして最後に、藤木運営委員長より「インクルーシブデザインアイデアソン2026 終了宣言」が読み上げられました。宣言は以下の通りです。
「私達は障がいのある人、高齢者、外国人など特定の人の為では無く、全ての人が豊かで幸福な生活を送る為、創造行為の最初の段階から協力し、団結し、助け合いながら、より多様性のあるモノ、コト創りを環境配慮も行いながら実行して行きます。その行為全てがオールインクルーシブな活動であり、私達の世界へ発信する未来の創造に繋げることをここに提言します。」
以上でアイデアソンプログラムは終了しました。
終了後、瑶子女王殿下にお入りいただき、参加者・運営関係者全員で記念撮影を行い、そののち懇親会を行いました。懇親会では、参加者同士で親密な情報交換が行われたほか、瑶子女王殿下もリードユーザーのみなさま、学生参加者などとも、親しくお話しいただきました。
3日間のアイデアソンは、短いながら内容が濃く、参加した企業デザイナーや学生、リードユーザーのかたがたにとって忘れがたいものになりました。それぞれの企業に戻られたのち、この3日間で得た学びと思いをもとに、インクルーシブデザインを実践していただけることを、楽しみにしております。

過去の参加企業一覧(50音順)
株式会社アイシン、株式会社コンセント、コクヨ株式会社、株式会社JVCケンウッド・デザイン、株式会社島津製作所、ダイハツ工業株式会社、TOTO株式会社、豊田合成株式会社、トヨタ自動車株式会社、トヨタ東日本株式会社、トヨタ紡織株式会社、日本電気株式会社、日産自動車株式会社、日野自動車株式会社、富士通株式会社、ブラザー工業株式会社、他
過去のアイデアソン
2025年度
2025年9月11日(木):ワークショップ(チームビルディング、フィールド調査)
2025年9月12日(金):ワークショップ(チーム作業、グループ発表)
2025年9月13日(土):プレゼンテーション
➡ 報告
2025年度
インクルーシブデザインアイデアソンin関西
2025年4月17日(木):ワークショップ(チームビルディング、フィールド調査)
2025年4月18日~23日:ワークショップ(チーム作業、グループ発表)
2025年4月24日(木):プレゼンテーション
➡ 報告
2024年度
2024年9月12日(木):ワークショップ(チームビルディング、フィールド調査)
2024年9月13日(金):ワークショップ(チーム作業、グループ発表)
2024年9月14日(土):プレゼンテーション
➡ 報告
2023年度
2022年9月14日(火):ワークショップ(チームビルディング、フィールド調査)
2022年9月15日(水):ワークショップ(チーム作業、グループ発表)
2022年9月16日(土):プレゼンテーション
➡ 報告
2022年度
2022年9月15日(火):ワークショップ(チームビルディング、フィールド調査)
2022年9月16日(水):ワークショップ(チーム作業、グループ発表)
2022年9月17日(土):プレゼンテーション
2021年度
2021年11月9日(火):オンライン ワークショップ(チームビルディング、グループディスカッション)
2021年11月10日(水):オンライン ワークショップ(グループディスカッション、グループ発表)
2021年11月11日(土):オンライン プレゼンテーション
➡ 報告
2020年度
2020年12月12日(土):オンライン ワークショップ(チームビルディング、気づきゲーム、ユーザーとのディスカッション、チーム中間発表、今後の進め方)
2020年12月23日(水):オンライン ワークショップ(グループ発表資料作成)、発表、まとめ
2019年度
2019年 8月30日(金):座学・ワークショップ
2019年 8月31日(土):フィールドリサーチ・ワークショップ
2019年 9月21日(土):発表・まとめ
➡ 報告

