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2023年度トヨタグループUD講演会

パソコンモニターには、講演者、青木さんんと手話通訳、字幕、トヨタ本部からの参加者が映っています。中央のスライド画面には、もし自分が耳が聞こえなかったら?もし自分が目が見えなかったら?もし自分が車いすだったら?みなさん参加できるだろうか?という文字が表示されています。

2023年4月11日 (火曜日)

開催形態:TEAMSオンライン

今回は聴覚障がい者と支援者から支持される『UDトーク』開発者の青木秀仁様に、テクノロジーを活用して、地域が抱える課題を解決しようとする取り組み『シビックテックとアクセシビリティ』について、UDトークの開発経緯や活用をご紹介いただきながらご講演をしていただきました。

テーマ:テーマ『シビックテックとアクセシビリティ』について
 ~UDトークのいままでとこれから

講演者:青木秀仁様

青木秀仁さんの画像です。

・Shamrock Records株式会社代表取締役、
・一般社団法人Code for Nerima代表理事。
UDトークをはじめとする音声認識技術を活用したアプリを開発しリリースするかたわら、テクノロジーを活用して地域課題に取り組む「シビックテック」と言う活動を東京都練馬区で行う。
趣味は語学(英語、中国語、手話)とガンプラ制作。

講演内容

1. UDトークとビジネスモデル
2. アクセシビリティとは
3. シビックテック(地域活動

1.UDトークとビジネスモデル

まずUDトークとは、音声認識と自動翻訳、そして多言語コミュニケーションのアプリ。開発のきっかけは、とある聴覚障害がある方との出会いで、話を伝えることができない僕の方に課題があるんじゃないかと思ったことから。2013年にアプリUDトークをリリースしたものの、音声認識の精度が良くなく世間の反応は冷たかった。弊社(Shamrock Records株式会社)は自己資金10万円、社員は妻と私の2名のみ。UDトークは無料版と有料版があるが機能的には全く同じ。違いは音声データを収集をするか違いのみ。無料版は、音声データを収集しアプリの改善に協力してもらう。

プロダクトオーナーとして大事にしていること3つ。まず一つ目、一人でやっているので「営業をしない」。2つめ、「人の意見は聞かない」。まず自分でやってみないとわからない。自分のアイデアが一番と思っている。3つめ、一番大事にしていることとして「自分の欲しいものをつくる」。自分が一番UDトークを使っていると思っている。

今年は、コミュニケーションアプリから、音声入力アプリに力を入れている。今年1月末にUDトークキーボードをリリースしたが、そのおかげで3月には1か月で4,300万発話も使われるようになった。もう一つは、ChatGPTを用いて議事録を要約するアプリで先日リリースした。

あまりお話する機会のないUI、UXデザインについて。ユニバーサルデザインとの出会いは、共用品推進機構から分かれた共用品ネットという団体、視覚障害者や聴覚障害者の方たちから「それじゃ判りません」とか洗礼を受けた。根底には自分が使いやすいものは、きっと他の人にも使いやすいだろうということ。2018年にAppleのWWDCってカンファレンスに参加してVoiceOverに対応することの重要性に感銘を受けた。アプリ開発は最初から多言語対応しておくと開発が楽。カラーユニバーサルデザイン機構とも仲良しで、色弱に関する情報をゲットしている。赤や緑は使っちゃいけないんじゃなくて使い方次第。

2. アクセシビリティとは

バリアフリーとアクセシビリティは違う。障害がある方が使いやすいものは誰にも使いやすいと思う。アクセシビリティの概念は、平等ではなく公平。アクセシビリティとは結果が公平になるように選択肢を用意し、提供すること。アクセシブルは何々しやすさ。アシスティブは、必ず必要な手段.

もし、自分が耳が聞こえなかったら、見えなかったら、車いすだったら、今日このイベントに参加できましたかってことを考えてほしいんです。みなさんが参加できて僕から情報が伝わっているだろうかと、そこがアクセシビリティへの気づきのスタート。障害についての課題を出すときにでてくる言葉、医学モデルと社会モデル。医学モデルとは障害そのもの、自分が抱える問題。社会モデルとは、環境としてどう整えるかということ。

3.シビックテック(地域活動)

テクノロジーを活用して地域課題を解決するためにCode for Japanという団体がイニシアチブをとって活動していて全国に80を超えるCord forの団体がある。 練馬区では区議員の方も一緒に連携しながら活動をしていて協働推進課という課が地域団体と行政をつなぐ役割をしている。地域団体の動画をつくるときに字幕を付けたり音声ガイドをつけたり、結構大きなイベントとしてつながるイベントもやっている。区民の教育プログラム、つながるカレッジでは地域活動をどうやって始めたらいいかという字幕付きオンライン配信のお手伝いもしている。耳の聞こえない人や目の見えない人が参加できるように。練馬区の成人式は字幕付きオンライン配信をやっている。新成人の8人に1人は外国人(2018年調べ)なので多言語字幕対応は必須。

まとめ~誰でも参加できるってのを実践するといいと思う。アクセシビリティは誰かのためではなくて自分たちのためであるということをちょっと意識してほしい。アクセシビリティとしてこういうものを用意している。何か特別な配慮があれば言ってくださいとか主催者と参加者で話し合って選択肢を決めていくという風な柔軟性が良いのでは。もし、自分が耳が聞こえなかったら、見えなかったら、車いすだったら、参加できるだろうかっていうことをイベントに行くたびに考えてもらいたい。

せっかくなのでおまけに
郡上市ICTクラブというところで高校生を対象にプログラミング教室を
Nerima Baseでは、語学学習のイベントなんかをやっている。英語、中国語、手話を中心にやっている。UDトークを使っているが結構効果がある。

質疑

質問:なぜ、自分に課題があると思うようになったか?
返答:海外からのお客様の場合、通訳を用意する。それと同じ。

質問:自分で気づかなかったということはないか?
返答:UDトークで文字変換途中の確定していない部分を黄文字にしているが、それでは見づらいという人がいてグレーに変更できる機能を付けたら多くのユーザーがグレーにしているようなのでそういうことかと思った。

ご参考

講演会に用いたスライドやUDトークを用いた発話ログを講演者、青木様のご許可をいただき掲載します。また、それをChatGPTを用いた要約アプリで要約したものを合わせて掲載します。

講演会、シビックテックとアクセシビリティのスライドにリンクします。
講演会に用いたスライド
講演会での会話を文字化し、PDF化したものにリンクします。
UDトークを用いて生成された講演会発話ログ
講演会の会話ログを800字ごとに要約したものにリンクします。
講演会発話ログを要約アプリで800字ごとに要約
講演会の会話ログを2000字ごとに要約したものにリンクします。
講演会発話ログを要約アプリで2000字ごとに要約

過去のインクルーシブ・テーマトーク

2022年度 第2回
2023年2月7日(火)

「誰もが等しく直面する『ヒアリングフレイル』の理解とその対応策について」

・中石真一路 様:聴脳科学総合研究所 所長、ユニバーサル・サウンドデザイン株式会社 代表取締役

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2022年度 特別企画
2022年10月4日(火)

「UD・インクルーシブデザインにおける新たな活動と世代間の共創に関して」

・Blined Project様
・大阪工業大学 高橋 基就 様
・芝浦工業大学 デザイン工学部 デザイン工学科 教授 橋田規子 様、学生の皆様

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2022年度 第1回
2022年7月5日(火)

「CSUNカンファレンス2022」にみるインクルーシブデザインの最新動向と日本の課題
・関根 千佳 氏:株式会社ユーディット会長兼シニアフェロー、同志社大学客員教授、特定非営利活動法人インクルーシブデザインネットワーク顧問

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2021年度 第3回
2022年3月23日(水)

『パラリンピックの残したもの』~パラリンピックで進んだこと、まだまだ残る課題~
・川内 美彦 様:アクセシビリティ研究所主宰 
・小川 歩美 様:オンボラ・コミnet 共同代表

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2021年度 第2回
2021年10月20日(水)

「社会課題と実践事例:『モバイルトイレ』の開発と社会に示す新たな可能性」
・トヨタ自動車株式会社 社会貢献推進部 内山田 はるか 様
・トヨタ自動車株式会社 ビジョンデザイン部 インテリアデザイン室 飯島 泰昭 様
・NPO法人 アクセシブル・ラボ 代表理事 大塚 訓平 様

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