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インクルーシブ テーマトーク

「2023年度 第2回 インクルーシブ・テーマトーク」報告

開催日

2024年1月29日(月曜日)
17:30~19:00 第1部:講演および質疑応答
19:00~20:00第2部:フリートークディスカッション

開催方式

Zoomによるオンラインセミナー

講演議題

「SOLIT!を作った理由」 必要な人に、必要なものを、必要な分だけ作り出す

講演者

田中美咲様画像

田中 美咲 様
・SOLIT株式会社 代表取締役CEO
・株式会社morning after cutting my hair 代表取締役
・東京防災「女性視点の防災ブック」編集・検討委員
・滋賀県産業振興審議会 委員

講演報告

田中様が立ち上げた事業会社SOLIT株式会社とファッションブランド”SOLIT!”のご紹介から、その起業の動機、そして田中様が目標としているダイバーシティ&インクルージョン(以下D&I)を目指す仲間を支援する協働と伴走支援活動にまでお話いただきました。

事業会社SOLIT株式会社は東洋哲学に基づくインクルーシブデザイン・ソリューション・カンパニーとして位置づけ、「多様な人も、動植物も、地球環境も、誰もどれも取り残さない社会を実現するための「経済圏」の実現をミッションとしている。

具体的には
①インクルーシブファッションブランド「SOLIT!」の展開
②国内外の類似事業者と連携したD&I研究・調査
③インクルーシブデザイン伴走支援
を行っている

ファッションブランド「SOLIT!」はAll-inclusive fashion serviceを提供している。障がいやセクシュアリティ、信仰に関係無く、誰でも自由に自分の好みや体型にあわせて部位ごとにサイズ・仕様・丈を選ぶことを可能にし、ものづくりの側が多様な利用者に選択肢を提供することで、1,600通り以上のカスタマイズが可能なオール・インクルーシブ・ファッションサービスである。

これらの選択肢は、課題を抱える当事者へのヒアリング・調査、プロトタイピングを経て導き出している。例えば、車いす利用者が車いすを利用するため、に腕まくりを前提とした袖口リブや、指の麻痺、視覚障がい、授乳をする時などに脱着が簡単にできるマグネットボタン、下半身肥満や脊髄損傷の方でも着やすいウエストサイズの調整機能などである。

開発、製造プロセスは通常のアパレル産業とは大きく異なり、企画段階から当事者とチームになって企画開発を行っている。利用者は提供された多様な選択肢の中から自分のために、自分にあったものを注文し、工場では依頼があってから必要な分だけを製造するので倉庫が不要で、ロスも発生しない。さらに利用者とはLINEや店頭で継続的な関係を構築し、そこから得た知見から新たな解決策につないでいる。

SOLIT!では、利用中のリペアや利用後の回収と再活用を行い、愛着を持って長く利用することを可能とするだけでなく環境への影響への配慮も怠っていない。

より多様な人が包括された社会にするために、インクルーシブファッションブランド「SOLIT!」を前例としてD&Iに関する「研究・調査」活動及び、「協働と伴走支援」活動を行っている。その範囲は、学習、就労、スポーツ、芸術、教育、居住、食料・食事、法律、医療・福祉等多岐にわたる。このように純度の高い前例を示し続けることにより、多くの仲間が追随し、さらに新たな事例や判断のための知見が集まり、ここに集う先駆者の継続的な協働を支え社会の変革を促して行く事を目指している。

一歩でも良い社会に向けて活動を進めたいと考える参加者にとって、強く背中を押して頂けた講演となりました。

(文責:特定非営利活動法人インクルーシブデザインネットワーク 岩﨑)

過去のインクルーシブ・テーマトーク

2023年度 トヨタグループ
2023年4月11日(火)

「テーマ『シビックテックとアクセシビリティ』について
 ~UDトークのいままでとこれから

・青木 秀仁 様:Shamrock Records株式会社代表取締役、一般社団法人Code for Nerima代表理事

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2022年度 第2回
2023年2月7日(火)

「誰もが等しく直面する『ヒアリングフレイル』の理解とその対応策について」

・中石真一路 様:聴脳科学総合研究所 所長、ユニバーサル・サウンドデザイン株式会社 代表取締役

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2022年度 特別企画
2022年10月4日(火)

「UD・インクルーシブデザインにおける新たな活動と世代間の共創に関して」

・Blined Project様
・大阪工業大学 高橋 基就 様
・芝浦工業大学 デザイン工学部 デザイン工学科 教授 橋田規子 様、学生の皆様

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2022年度 第1回
2022年7月5日(火)

「CSUNカンファレンス2022」にみるインクルーシブデザインの最新動向と日本の課題
・関根 千佳 氏:株式会社ユーディット会長兼シニアフェロー、同志社大学客員教授、特定非営利活動法人インクルーシブデザインネットワーク顧問

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2021年度 第3回
2022年3月23日(水)

『パラリンピックの残したもの』~パラリンピックで進んだこと、まだまだ残る課題~
・川内 美彦 様:アクセシビリティ研究所主宰 
・小川 歩美 様:オンボラ・コミnet 共同代表

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2021年度 第2回
2021年10月20日(水)

「社会課題と実践事例:『モバイルトイレ』の開発と社会に示す新たな可能性」
・トヨタ自動車株式会社 社会貢献推進部 内山田 はるか 様
・トヨタ自動車株式会社 ビジョンデザイン部 インテリアデザイン室 飯島 泰昭 様
・NPO法人 アクセシブル・ラボ 代表理事 大塚 訓平 様

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2021年度 第1回
2021年7月27日(火)

「実践事例:インクルーシブデザイン視点で既存エレベーターホールの動線改善」
・株式会社コンセント プロデューサー 堀口真人 様